国際法学会エキスパート・コメントNo.2020-6
石川 義道(静岡県立大学国際関係学部講師)
脱稿日:2020年2月10日
はじめに
2017年1月のトランプ大統領の就任後,米国と中国は一方的措置によってお互いに関税を賦課し合ってきました。とりわけ米国は,中国における強制的な技術移転(中国への投資の条件として外資企業が持つ関連技術を国内に移転するよう強要する)や知的財産権の侵害に対する懸念から,1974年通商法301条にもとづいて中国製品に対して大規模な追加関税を一方的に課してきました。これに対して中国は,米国による関税賦課が一方的な制裁措置を禁止する世界貿易機関(WTO)の基本原則に違反するとして同機関に紛争を付託しましたが,他方で同じく米国製品に対して一方的な追加関税を課してきました。このように両国間の貿易摩擦は,両者がWTO原則を無視する形でエスカレートしていきました[1]。
もっとも2019年12月13日に両国間で第一段階(Phase One)の実質合意にいたると,2020年1月15日には「第一段階の貿易合意」への署名が行われました。これによって両者は同年2月14日に現在課している追加関税の一部をそれぞれ引き下げる予定ですが,お互いの追加関税の大部分は据え置きとされます。今回の米中合意についてはすでに経済学者や国際経済法学者によって活発な分析が行われているところですが,本稿ではとりわけ「食の安全(food safety)」という観点から合意の内容について分析・評価を試みることとします。
1. 米中貿易摩擦における「食の安全」の位置づけ
今回の合意では,1974年通商法301条にもとづく関税賦課の原因とされてきた「知的財産権(第1章)」と「技術移転(第2章)」をめぐって中国側の義務が強化・明確化されました。また第6章「貿易の拡大」では,中国が米国から今後2年間で合計2000億ドル(約22兆円)分の製造品,農産品,エネルギー産品,サービスを追加で輸入することが約束されました。さらに第7章では,今回の合意の「迅速かつ実効的な履行」を確保するための特別な紛争処理手続が設けられています(後述)。もっとも米中間で特に問題とされてきた産業補助金(「中国製造2025」を通じた中国政府によるハイテク産業育成のための補助金)の規律については合意の対象とされず,将来の交渉に委ねられることになりました。
2000億ドルの追加購入のうち,中国は今後2年間で米国から320億ドル分(2020年は125億ドル,2021年は195億ドル)の農産物の追加購入を求められています。2017年の米国からの農産品輸入が240億ドルであったことから,今後2年間で中国は合計800億ドル分の農産品を米国から輸入・購入する計算となります。追加購入の対象となる農産品は附属書で列挙されていますが(第6章附属書6.1),そこには①大豆,②食肉(牛肉,豚肉など),③穀物(小麦,トウモロコシ,コメなど),④綿花,⑤海産物,⑥その他の農産品(①から⑤を除く殆どの農産品)が含まれています。
かねてより米国は,中国が農産品の輸入に対して関税以外の様々な貿易障壁-いわゆる「非関税障壁」-を設けており,それによって米国産農産品の中国市場へのアクセスが制限されていると批判してきました。その1つとして,「食の安全」を理由に中国が課す肥育促進剤(ラクトパミン,肥育ホルモン剤)を投与した牛肉・豚肉の輸入禁止が挙げられてきました(後述)。そして中国側がこれらの非関税障壁を維持する限り,今回の合意で義務付けられている食肉を含む農産品の追加購入達成の妨げとなる可能性もあります。
そこで今回の合意の第3章「食品・農産品貿易」において,中国は食品・農産品貿易に関して維持している様々な非関税障壁について緩和・撤廃することを約束しましたが,その中に本稿が着目する肥育促進剤を投与した牛肉・豚肉の輸入禁止も含まれます。
2. 「食の安全」をめぐる貿易紛争
それでは食の安全をめぐる国家間の貿易紛争とは,何が原因でどのような形で発生するのでしょうか。たとえば以下のような類型が考えられます。
(1) 科学的根拠をめぐる争い
第1に,食品に含まれる危害物質の健康リスクをめぐって科学的根拠に争いがある場合です。輸入国は,たとえば食品中に残留する添加物の人体へのリスクを評価し,それを踏まえて当該食品の輸入に対する措置を決定することになります。それに対して輸出国は,輸入国が行ったリスク評価について,それが依拠する科学的根拠の信頼性や結論にいたる論理の一貫性や客観性を主に争うことになるでしょう。約半世紀にわたる「ホルモン牛肉紛争」(肥育ホルモン剤を施した牛の肉の輸入を禁止したEU(当時EC)と主要な牛肉輸出国である米国・カナダの対立)の根源は,牛肉に含まれる肥育ホルモン剤の健康リスクをめぐる科学的対立にあったといえます。
また,ある食品が人体に与える悪影響について科学的証拠が不十分なためリスク評価ができないという理由で,またはリスク評価を行ったものの科学的に不確実性が依然残るという理由で,「予防的に」当該食品の輸入を制限する場合が考えられます。これも広い意味で食品の安全性の科学的根拠をめぐる争いに分類できるでしょう。
(2) 措置のあり方をめぐる争い
第2に,リスクの科学的評価について争いはないものの,輸入国の措置が「食の安全」という同国の目的に照らして必要以上に貿易制限的であるかが争われる場合があります。たとえば輸入国が食品中の添加物の残留基準値をゼロと定める場合,わずかでも添加物が検出されれば当該食品の輸出ができなくなります。その根拠として輸入国が「極めて高い保護水準(例:ゼロリスク)を達成するため」と主張するのに対し,輸出国が「一定の基準値以下であれば人体へのリスクはゼロとなるため,残留基準値ゼロは過度に貿易制限的である」といった反論を行うことが考えられます。たとえば日本産水産物等に対する韓国の輸入制限をめぐる近年のWTO紛争において我が国は,韓国による輸入制限が過度に貿易制限的であるという点を提起しました[2]。
(3) 国際基準との整合性をめぐる争い
第3に,輸入国の措置と国際基準との整合性が争われる場合があります。食品の安全については「コーデックス委員会(Codex Alimentarius)」-1963年に世界保健機関(WHO)と国連食糧農業機関(FAO)によって設置された政府間組織-が,公正な食品貿易の確保を目的として国際的な食品規格を策定しています(コーデックス規格)。たとえば同委員会は,食品中に残留する農薬や動物医薬品(肥育促進剤を含む)の上限値として「最大残留基準値(MRL)」を採択しています。
コーデックス規格それ自体は加盟国を法的に拘束力するものではありませんが,WTO協定の一部である「衛生植物検疫措置の適用に関する協定(SPS協定)」においてコーデックス規格は「国際基準」として扱われており,そしてWTO加盟国はコーデック規格に「基づいて」措置をとることが義務とされています。したがって,仮に輸入国がコーデックス規格よりも厳格なMRLを設定する場合,輸出国としてはWTOにおいて当該措置が国際基準に基づいていないと主張することが考えられます。なお,ここで輸入国は国際基準よりもさらに高い水準での保護を目指していると思われるところ,それは輸入国の「特権」として認められていますが,その場合であっても科学的根拠の有無-コーデックス規格では輸入国が掲げる高い保護水準を達成できないか-が争われることになります。
3. 米中間の「第一段階の貿易合意」について
米中は食品中に残留する肥育促進剤の健康リスクの評価をめぐって対立してきましたが,後述するように,2020年1月15日の合意において中国は,国際基準(コーデックス規格)と整合的な形で米国産牛肉・豚肉を輸入するように義務付けられています。いいかえれば,WTOでは認められている加盟国の「国際基準よりも高い保護水準を設定する権利」が,今回の合意では制限されているといえます。
(1) ラクトパミンの使用をめぐる対立
ラクトパミンとは飼料添加物であり,牛や豚の体重増加,飼料効率の改善および赤身肉割合の向上を目的として,米国では牛および豚の肥育時に広く使用されています。しかしながらEUは,人体への悪影響を理由に1996年から現在までラクトパミンの域内での使用およびそれを施した牛・豚の肉の輸入を禁止しています(Directive 96/22/EC)。同様に中国でも2002年2月に肥育目的でのラクトパミン(中国では「痩肉精」と呼ばれています)の使用が禁止され,そして2009年12月以降はラクトパミンの輸出入が,さらに2011年12月以降はラクトパミンの国内生産・販売が禁止されています。
これに対して2004年に「FAO/WHO食品添加物に関する合同専門家委員会(JECFA)」がラクトパミンの人体への悪影響についてリスク評価を行い(2006年・2010年にも実施), MRLの設定を勧告すると,最終的にコーデックス委員会は2012年7月にコンセンサスではなく多数決にもとづいて,僅差で(69票対67票,棄権7票)でラクトパミンのMRLを採択しました[3]。米国などの食肉の主要輸出国はこれに賛成したものの,EUおよび中国はこれによって残留値がMRLを下回る牛肉および豚肉の輸入が一定条件下で求められることになるため,採択に反対しました[4]。
かねてより米国は,ラクトパミンの使用・残留を理由とした中国による牛肉・豚肉の輸入禁止を問題視してきました。そして2017年4月に米中間で「100日計画」が合意されると,「最初の行動」として中国側が「食の安全,そして動物衛生に関する国際基準」に整合的な形で,同年7月中旬までに米国産牛肉の輸入を許可する旨が約束されました。しかしながら,その後も米国は,約束に反して中国がラクトパミンの使用を理由に米国産牛肉・豚肉の輸入禁止を継続していると批判してきました[5]。
これに対する中国側の反論としては,国内でのラクトパミンの不正使用や中毒事件の発生といった事情を踏まえると,「中国はコーデックス規格よりも高い水準での保護を目指している」(コーデックス規格では中国が掲げる高い保護水準を達成できない),ということであったと思われます。そして後述するように2020年1月15日の米中合意では,このような中国の反論を「封じる」形で約束が交わされることになりました。
(2) 合意の特徴
前述したように,国際基準よりも高い保護水準を設定することは輸入国の「特権」としてWTOにおいて繰り返し確認されてきました。ただし,その場合でも輸入国はリスク評価を実施した上で,科学的根拠に基づいて措置をとることが求められます。
2008年11月に中国はWTOの場でラクトパミンについてリスク評価を現在実施中であると発言しました[6]。しかしながら米国によれば,それから2018年時点まで中国はラクトパミンについてリスク評価を実施したという証拠を示していません[7]。そこで今回の合意では,ラクトパミンをめぐる中国側によるリスク評価の実施について次の約束が交わされました(第3章附属書7第5項)。
米国の専門家との協議を通じて,中国は牛および豚におけるラクトパミンのリスク評価を,不当に遅延することなく可能な限り迅速に,さらにコーデックス委員会・JECFAのリスク評価ガイダンスおよびJECFAが行ったラクトパミンについてのリスク評価に整合的な方法で行うものとする(下線は筆者)。
コーデックス規格が存在するということは,その前提として何らかのリスク評価が行われたことを基本的に意味します。たとえばラクトパミンについてはまずJECFAがリスク評価を実施し,それに基づいてMRL案が策定され,最終的にコーデックス委員会でMRLが採択されます。したがって,仮に輸入国が国際基準よりも高い水準での保護を目指す場合,同国はJECFAによって検討されなかった科学的証拠を分析し,またはJECFAとは別の手法で評価を行うなどして,コーデックス規格では自国の高い保護水準を達成できない旨を科学的に示す必要があります。この点についてWTOの上級委員会も「国際基準よりも高い保護の水準を目指す場合,加盟国は,国際機関(当該国際基準の根拠となるリスク評価を行った機関)と『同一の方法で(in the same manner)』リスク評価を行うことは求められていない」と説示しています[8]。
これに対して,今回の合意において中国は「コーデックス委員会・JECFAのリスク評価ガイダンス」と「JECFAが(2004年・2006年・2010年に)実施したリスク評価」の両方と「整合的な方法で(in a manner consistent)」リスク評価を行うことを約束しています。したがって,仮に中国がコーデックス規格よりも高い水準での保護を目指す場合,中国はJECFAによるリスク評価の枠内(科学的証拠や評価手法など)で,コーデックス規格では中国が掲げる高い保護水準を達成できない旨を科学的に示すことが求められます。そのような立証は容易ではなく,結果としてラクトパミンのリスク評価をめぐる中国の政策裁量は狭められていると評価できます。
ここで参考となるのがEUによるラクトパミンをめぐるリスク評価です。コーデックス委員会でラクトパミンのMRLが採択される前の2009年4月に,EUのリスク評価機関である欧州食品安全機関(EFSA)はJECFAが行ったリスク評価を審査した上で,JECFAが使用したデータと手法は不十分であったとの報告書を発出しました。しかしながら,仮に中国がEFSAの行ったような形で(すなわちJECFAとは異なる手法で)リスク評価を行えば,それは合意違反とされる可能性があります。
さらに今回の合意の中で中国は,ラクトパミンとは別に「肥育ホルモン剤」についても約束をしています。コーデックス委員会は天然ホルモン剤についてはMRLの設定を不要とし(適正に使用されれば危害なし),また合成ホルモン剤(ゼラノールなど)についてはMRLを設定していますが,中国は肥育ホルモン剤を施した牛の肉の輸入を禁止しています。しかしながら合意の中で中国は「コーデックス規格のMRLを採用する(China shall adopt the Codex MRLs)」と約束しており(第3章附属書4第5項),WTOにおいて認められてきた「国際基準からの逸脱(より高い保護水準の設定)」が,肥育ホルモン剤との関係では認められていません。
(3) 対立は解消されるか?
それでは今回の合意を通じて「食の安全」をめぐる米中間の対立は解消され,それに起因するさらなる貿易摩擦は回避されるのでしょうか。
ここで想起されるのが米国・EC間でのホルモン牛肉紛争の決着プロセスです。肥育ホルモン剤の使用に関するコーデックス規格(前述)にもかかわらず,ECは肥育ホルモン剤を投与された牛の肉の輸入を禁止しました。そして2019年8月に両者は「EUが輸入禁止を維持する代わりに,肥育ホルモン剤未使用牛の肉について米国から一定量を無税で輸入する(無関税割当枠)」という形で合意に至りました。そこでは肥育ホルモン剤の人体へのリスクをめぐる両者の科学的立場の違いは一旦脇に置きつつ,両者間の貿易摩擦は一応の決着をみたと評価することができます。
これに対して上で述べてきたように,2020年1月の米中合意によって中国はコーデックス規格よりも高い保護水準を設定することが,肥育ホルモン剤については不可能に,またラクトパミンとの関係では困難となりました。したがって米中間では,ホルモン牛肉紛争のように「中国が輸入禁止を維持する(高い保護水準を維持する)代わりに,肥育促進剤を投与されていない米国産牛肉・豚肉に市場アクセスを提供する」という形での対立の解消はもはや望めないことになります。
また,中国が今回の合意に沿ってコーデックス規格に整合的な形で米国産牛肉・豚肉の輸入を行えば,この点をめぐる両国間の対立は解消されることになるでしょう。しかしながら,中国によるラクトパミンの使用・生産の禁止は国内での中毒事件の発生を受けたものであり,中国側がJECFAによるリスク評価を実質的に受け入れるかは不明です。またその時期も不明です。今回の合意で中国はラクトパミンについてのリスク評価を「不当に遅延することなく,可能な限り迅速に」行うことを約束しているものの,具体的な期限は示されていません。とはいえ,そこでは同時に「リスク評価に必要な証拠を米国側はすべて提出したことを中国は認める」と約束しているため(第3章附属書4第2項),中国側としては「米国がリスク評価に必要な証拠を提出していない」と主張して手続を遅延させることは困難でしょう。
なお今回の合意では,附則において「自然災害や当事国が制御できない他の予測不能な事象」によって約束内容の履行が遅延する場合,両国は協議を行うとされています(第7章7.6条2項)。中国国内での新型コロナウイルスの感染拡大はそれに該当する可能性が高く,リスク評価を含めた中国側の義務の履行期限について両国間で協議が行われる可能性もあります。
おわりに
仮に中国がラクトパミンについてのリスク評価を完了させたとしても,それが現在の輸入禁止を科学的に支持する結果となる場合も考えられます。それでは最後に,そのような場合に今回の合意の枠内で何が起こり得るかについて考えてみたいと思います。
今回の合意では,約束内容の履行をめぐって両国間で争いが生じる場合の特別手続が設けられています(第7章)。仮に米国が上の事例において,中国によるリスク評価が合意内容に沿って行われていないと判断すれば,当該手続のもとで中国側に対し申立て(Appeal)を行うことができます。そして申立て内容について両国間で協議が行われ(そこには事務レベルに加えて,次官級,さらに米通商代表と中国国務院副総理による閣僚級の協議も含まれます),そこで一定期間内に解決に至らない場合,まずは申立国(この場合は米国)が被った損害に対する「対応(response)」について簡易な協議が行われ,その点でも合意できなければ,米国は自らが適当と考える是正措置を一方的にとることが認められています。そこにはもっぱら追加関税の賦課が含まれると考えられています。
それに対して被申立国(この場合は中国)は報復をしてはならないと定められていますが,仮に米国による是正措置が「不誠実(bad faith)」であると中国が考えるのであれば,中国は今回の合意から一方的に離脱することが認められています。「不誠実」とは何を意味するのか不明ですが,たとえば賦課された関税の水準が被った損害に対して著しく均衡性を欠くような場合が含まれるでしょう。
このように特別手続では3つのレベルでの協議が定められており,それを通じてリスク評価をめぐる争い(実質的にはラクトパミンの健康リスクをめぐる科学的対立)が解消に向かう可能性はあります。もっとも協議で解決しなければ是正措置に進むところ,相手国による合意違反の有無,自らが被った損害の規模,それに対する是正措置の均衡性を決めるのは申立国自身であり,またそれが不誠実であるかも被申立国の主観的判断に完全に委ねられます。それを通じて両国間の科学的対立を解消するのは困難であり,ゆえに対立に起因する貿易摩擦のリスクは引き続き残ることになるでしょう。
[1] 米中貿易摩擦の経緯,通商政策の内容,データを整理するものとして,JETRO(日本貿易振興機構)「特集:米国トランプ政権の動向と米中通商関係」を参照。
[2] 濱田太郎「韓国による日本産水産物等の輸入制限に関する紛争について」『国際法学会エキスパート・コメントNo. 2019-7』(2019年)を参照。
[3] Codex, Joint FAO/WHO Food Standards Programme Codex Alimentarius Commission, Thirty-fifth Session, REP12/CAC (2012), para. 113.
[4] ラクトパミンをめぐるコーデックス委員会での議論については,松尾真紀子他「食品安全の国際基準策定における『科学』と『科学以外の要素』の位置づけの再考」『日本リスク研究学会誌』第25巻1号(2015)9-18頁が詳しい。
[5] United States Trade Representative, 2018 Report to Congress on China’s WTO Compliance (2019), at 126.
[6] WTO Committee on Sanitary and Phytosanitary Measures, Summary of the Meeting of 8-9 October 2008, G/SPS/R/53, 22 December 2008, para. 146.
[7] United States Trade Representative, 2017 Report to Congress on China’s WTO Compliance (2018), at 103.
[8] Appellate Body Report, United States – Continued Suspension of Obligations in the EC – Hormones Dispute, WT/DS320/AB/R, 16 October 2008, para. 685.